時間の習俗(松本清張)

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     「点と線」同様、何十年ぶりかの再読。三原が峰岡に当たりをつけるのも単なる勘だし、その峰岡がカメラ好き&俳句好きの梶原と接点と持つ辺りも今ひとつ。それと動機が取ってつけた感強い。でも、トリックは面白かった。男2人と女1人だと思っていた加害者側が男2人だったとか、定期券は身分証明に使ったとかね。後半のキーパーソン梶原が関係している俳誌のことを前半で何気なく出しておく構成はさすが。何より、互いに信頼し合っている三原と鳥飼の姿を見ているとホッとする。「点と線」と同じく懐かしい時代も感じられ、それで十分だよ。

     

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    点と線(松本清張)

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       何十年ぶりかの再読。4分間の空白が有名な作品。個人的には、初めて読んだ松本清張の小説だったので懐かしかった。私が読んだ時でさえ、飛行機利用をなかなか思いつかない設定は時代を感じさせるものだったが、今回再読してみて、電報を頻繁に使っている点にも時代を感じた。アリバイ崩しの面白さは言うまでもないが、三原刑事が鳥飼刑事への手紙で推測している安田の妻亮子がお時殺しに協力した心理(「『夫の手伝い』よりも、あんがい、お時を殺すほうに興味があったのかも」)など、作者の冷徹な視線にも「社会派」らしさを感じた。
       なお、トリックの肝心な部分を考えると、映像化しても現代に置き換えて、というのは無理。なので、今までの映像化では時代を小説と同じ時代設定にしていたけど、今後はそれでさえ無理になるだろうね。飛行機移動が頭に浮かばない、携帯がない、電報で連絡といった状況設定には私らの世代なら何とか付いていけるけど、それより下の世代だと現代との違いが大きすぎて物語を追えなくなると思う。日本の推理小説史上、不朽の名作のひとつだと思うけど、その意味では「不朽」じゃないんだよね、残念だけど。

       

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      青の時代(三島由紀夫)

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        JUGEMテーマ:日本文学

         実際の事件をモデルにした作品。文章が硬く、ゴツゴツした印象。昔はこういうのを純文学だと思っていたんだなぁ。先日読んだ「宴のあと」は随分読みやすく感じたが、あれはこの本から10年後に書かれた作品だったからか。高校時代に読んだ「仮面の告白」や「金閣寺」はどちらに近い文章だっただろう? 純文学という印象が残っているから本作に近かったかもしれない。あの2作も、今だと純文学どころかただの硬く読みにくい文章だとしか思わないだろうが…。それでも小説として評価される時代があった。そういうことなんだろうね。(2020.4.6読書メーターにUP)

         

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        宴のあと(三島由紀夫)

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           実話をもとに構図が描かれているせいか、いろいろな意味で読みやすい。もっといえば、三島由紀夫ってこんな陳腐な小説を書いていたのか、というのが正直な感想。印象的だったのは主人公の「墓」に対する思い。作品の表面で繰り広げられる政治的モチーフの応酬の中にあって、この「墓」の存在はそこだけ別の光が当たっているように感じた。あとは最後の山崎の手紙。著者のメッセージはそこに込められているのだろうが、それを読み解くのは決して難しくない。一度お読みになってみては…と薦める程度の本かな(2020.4.3読書メーターにUP)

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          吉原手引草(松井今朝子)

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            JUGEMテーマ:時代小説

             高名な花魁が起こしたらしい騒ぎの真相を関係者たちへの聞き書きによって徐々に明らかにしていく構成。そのせいか回りくどい。例えば、騒ぎの内容が明らかにされるのは(文庫本だと)203ページだし、聞き手の正体が明かされるのはラスト2ページ。真相は敵討ちなのだが、それではその敵討ちへの動きがどこから始まっていたのかというと、はっきりしない。まだまだ明らかになっていないことを残したまま物語は終わってしまうが、それを不快に感じさせないところが作者の腕か。(2019.10.27読書メーターにUP)

             

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