ニッポンの書評(豊崎由美)

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     著者の「書評の役目は大八車の押し手」という考えには全くもって同感。この表現を見て、昔、呉智英が『読書家の新技術』で紹介していた足立巻一『やちまた』に対する朝日新聞のアナグラムまで使ってある熱のこもった書評を思い出した。評者が心底その本を薦めたいと思っているなら、その熱は文章からハッキリ伝わるし、読み手はその熱をしっかり受け止めなくてはいけないという例として呉は紹介していたのだが、この『ニッポンの書評』では、著者自身が見事な「大八車の押し手」ぶりを発揮していて、中で取り上げられている本のどれも美味しそうなこと。おかげで、読んでみたくなった本が増えて困った。古川日出男の『聖家族』、朝倉かすみの『タイム屋文庫』と『ロコモーション』、長嶋有『ぼくは落ち着きがない』、カズオ・イシグロ『日の名残り』、絲山秋子『ばかもの』、中島京子『エ/ン/ジ/ン』、それと今まで敬遠してきた村上春樹の長編群等々。
     この後、京極夏彦の作品(『今昔百鬼拾遺 天狗』と『巷説百物語』シリーズ5冊)を読み、それから日本ミステリーの三大奇書といわれる『虚無への供物』『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』を順に読破するつもりでいたので、そうそう本を買っても追っつかないんだけど…と思いながら、とりあえず岸本佐和子の『ねにもつタイプ』を買っちゃった。
     個人的に『書評』というと読者が取っ付きやすくなるよう土を少し耕してやるようなイメージなので、ネタバレ書評には反対。書評を読んだだけで『これじゃ、もう本は読まなくていいや』と思わせたら、それはやっぱりダメでしょ、という感覚は書評する人に持っていてほしいと思う。
     巻末の大澤聡との対談で植草甚一の話が出ていた。私も高校の頃、植草甚一の本を読んであの独特の文体と生活スタイルに憧れたので懐かしくてしみじみしてしまった。『あの頃の我が青春の志よ、今何処?』ってとこかな。

     あっ、そういえば『やちまた』の文庫本を買ったまま、まだ読んでないや。

     

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    文学賞メッタ斬り! 受賞作はありません編(大森望・豊崎由美)

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       2007年の本なので語られているネタとか小説は古いんだけど、大森・豊崎コンビの語りは十分楽しめる。私が通常の文壇事情に関心がないせいか、選考委員ネタには初めて知ったこともあり満悦。まあ、4冊目なので「ああ、また言ってる」程度の感じ方が強くなっているのは事実だけどね。それでも津村陽さよなら特集みたいなのもあって楽しい作りになっている。それにしてもこの中で取り上げられている作家の中には「今何してるんだろ?」的な人もちらほら居て、13年という時の流れを感じたね。

       

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      超辛口先生の赤ペン俳句教室(夏井いつき)

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         プレバトの魅力は、俳句が作者の目の前でケチョンケチョンに添削されるところ。どんな下手な句でも何とか形になるように添削する夏井先生の苦労には頭が下がるが、おかげで俳句作りの注意点が具体的に理解できる。その番組の魅力を一冊にまとめたのがこの本。実際に番組で取り上げられた俳句のどこがどう良いのか、またどうダメなのか、解説を読むことで理解できる。俳句は奥が深いが、その入り口としてプレバトは最適な番組だし、この本は最適の一冊だと思う。(2020.4.18読書メーターにUP)

         

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        漢文法基礎 本当にわかる漢文入門

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           分厚いが読みやすい。一読すれば漢文に対する勘が養われる。再読すれば更に漢文理解が容易になるだろう。著者はあとがきで、センター試験以外、入試から漢文を除く大学の激増とともに、漢文を古典の素養として学ぼうという受験生が減ったことで、分厚い本書を読もうという気骨ある受験生も減ってきたと嘆く。しかし、受験から離れた所にいる社会人で漢文を学び直そうという人達にとっては痒い所に手が届く良書なのは間違いない。もちろん、数少ない気骨ある受験生にとってもお勧めの一冊。(2018.2.2読書メーターにUP)

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          現代小説のレッスン(石川忠司)

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             積読状態から抜き出して読んでみた。何故この本を買ったのか覚えてない。巻末の引用作品索引のうち数冊しか読んだことないし…。(笑) この本では、プロローグに出てくる「内言」「描写」「思弁的考察」の3つのツールを使いながら現代小説を分析しているようだけど、村上龍、村上春樹、水村美苗のところが理解しやすかった。まあ、これは個人的に関心を持っている作家だからだろうけどね。また私小説に関する考えも、かって中村光夫の「風俗小説論」を熟読した身としては思うところの多いものだった。(2017.12.2読書メーターにUP)

             

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