原節子の真実(石井妙子)

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    JUGEMテーマ:映画

     原節子作品は小津監督の映画を見たぐらい。だから、著者が小津作品での慎ましく清楚なイメージとは異なる原節子の姿を、彼女や周囲の人間の言葉を繋ぎ合わせて明らかにしていく過程に引き込まれた。戦争、家族、映画といった因子が彼女にどう作用していったのか。直接本人にインタビューしたわけではないので、あくまで著者の見立てになるが、新藤兼人の言葉を借りた「ライオン」というイメージはそう間違っていないように思う。でなければ、戦争前後の時代を「自立」という言葉を体現するように潜り抜け、早期に引退する選択は出来なかっただろう。
     なお、この文庫本には原節子が書いたエッセイも収録されているが、これが知性を感じさせる文章で、お得感いっぱいの付録になっている。

     

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    数えずの井戸(京極夏彦)

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      JUGEMテーマ:ミステリ

      ※ネタバレあります
       お馴染み「番町皿屋敷」を基にした作品。これも「一枚足りない、うらめしや〜」は知っていてもお話全体を知らないので、ひとつの物語として楽しんだ。数や誉め言葉など何かの不足に不安を感じる登場人物たち。有るから不足を不安に感じる、いっそ全部無くしてしまえば不安も消える…確かにそうかもしれない。だから最後、ほとんど皆が死んでしまうのか。
       この怪談の肝は皿ではなく人の感情。愛と憎しみ、それに底なしの井戸のように何も見えてこない「無」の感情。だから、アイコンとしての「井戸」なのかもしれない。なんか自問自答の読後感だな。

       

       さて、これで京極夏彦の江戸怪談シリーズも読み納め。京極堂シリーズ、巷説百物語シリーズと続けて読んできたけど、京極夏彦を読むのもここで一区切りかな。なんか寂しいね。少し期間を置いて全部再読したいとは思っている。特に巷説百物語シリーズと江戸怪談シリーズは両方合わせて事件発生順に読み直したい。又市はおぎん、治平、小右衛門、林蔵なんていう魅力たっぷりのキャラクターたちを時系列で味わいたい。正直、京極堂シリーズほどの期待はせずに読み始めただけに、面白さの感じ方が余計印象的だったのかもしれない。

       

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      覘き小平次(京極夏彦)

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         山東京伝の「復讐奇談安積沼」を基に書かれた作品だが、ここでは、小平次は命を救われ死んではおらず、その姿を見て、殺したと思っていた側の人間たちが自滅していくという形になっている。詳しいあらすじを云えといわれても言いづらい。どの登場人物もキャラが立っていて、おかげでずっと夢を見ているような気分で読み終えた。

         巷説百物語シリーズからは又市、治平、徳次郎の3人が出てくるが、特に治平は、要所で話を回す役割。それにしても、運平と多九郎とが兄弟だったエピソードは必要だったのか。かえって物語が窮屈になったように思うが…。

         

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